「集中できない」を責める前に【前編】 ― 子どもが自分で学べるようになるために ―
【前編】「集中できない」は、やる気の問題?
― 中高生の集中力と学習環境を考える ―
テスト前や受験期。
机には向かっているけれど、なかなか勉強が進まない。
少し問題を解いてはスマホを見たり、ぼんやりしたりしている。
そんなわが子の姿を見て、
「集中しなさい」
「スマホばかり見ていないで勉強しなさい」
と言いたくなることはないでしょうか。

特に受験が近づいてくると、本人以上に親のほうが焦ってしまうこともあります。
しかし、「集中できない=やる気がない」と考えてしまってよいのでしょうか。
人間の集中力は、長時間ずっと同じ状態で維持できるものではありません。
連続して作業を続ければ、少しずつ集中力は低下していきます。
だからこそ、「もっと集中しなさい」と本人の意志の強さだけに任せるのではなく、
集中しやすい学習の仕方や環境を考えることが大切です。
よく知られている方法の一つに、25分勉強して5分休憩する「ポモドーロ・テクニック」があります。
ただ、すべての学習を25分で区切ればよいわけではありません。
英単語や計算練習なら25分。
国語の長文読解や数学の証明問題、過去問演習など、
ある程度まとまった時間が必要なものなら50分取り組んで10分休む。
学習内容や本人の集中しやすい時間に合わせて、変えていけばよいのです。
大切なのは、
「自分は、どのくらいなら集中できるのか」
を本人が知っていくことです。
そして、もう一つ大切なのが休憩の取り方です。
5分休憩のつもりでスマホを開いたら、SNSや動画を見て10分、20分……。
これは中高生に限ったことではありません。
私たち大人にも経験があるのではないでしょうか。

休憩では、席を立つ、伸びをする、飲み物を飲む、少し歩くなど、
一度頭を学習から離す時間をつくってみる。
勉強中の「ながらスマホ」にも注意が必要です。
問題を解く。
通知を見る。
問題に戻る。
SNSを見る。
また問題に戻る。
複数のことを同時にしているように見えても、実際には注意する対象を何度も切り替えています。
そのたびに集中が途切れてしまいます。
では、親がスマホを預かり、
「50分勉強したら10分休みなさい」
「今日はここまで終わらせなさい」
と管理すればよいのでしょうか。
中学生くらいまでは、ある程度、大人が環境を整える必要がある場合もあります。
しかし高校生になれば、少しずつ「管理してもらう勉強」から卒業していかなければなりません。
大学受験になれば、科目数も増え、自分の得意・不得意を考えながら、
何を、いつ、どのくらい勉強するのかを自分で判断する必要があります。
そして大学や社会に出れば、
誰かが毎日「今日はこれをやりなさい」と指示してくれるわけではありません。
だからこそ私は、勉強を通して身につけてほしい力の一つが、
「自分の状態を知り、自分で自分を整える力」
だと思っています。
集中できなかったときに、
「自分は意志が弱い」
で終わるのではなく、
「今日はなぜ集中できなかったんだろう」
「時間の区切り方を変えてみよう」
「スマホを別の場所に置いてみよう」
と、自分で考えて修正していく。

これも大切な学ぶ力です。
そのためには、周囲の大人がすべてを決めてしまわないことも必要です。
では、中学生・高校生の子どもが自分で考えられるようになるために、
親はどのように関わればよいのでしょうか。
後編では、PLATZでも大切にしている「コーチング的な関わり」という視点から考えてみたいと思います。
