「集中できない」を責める前に【後編】 ― 子どもが自分で学べるようになるために ―
【後編】「勉強しなさい」から「どうしたい?」へ
― 自分で学べる中高生を育てる親の関わり ―
前編では、「集中できない」ことを本人のやる気や意志の弱さだけの問題にせず、
時間の使い方やスマホとの距離、休憩の取り方など、
学習環境や方法を整えることの大切さについてお話ししました。
では、家庭では親はどこまで関わればよいのでしょうか。
教育相談でもよく伺うのが、
「言わなければやらないんです」
という言葉です。
親から見れば、やるべきことはよく分かります。
「スマホを置けばいい」
「もっと早く始めればいい」
「毎日少しずつやればいい」
「苦手科目を後回しにしなければいい」
特に高校生になると、親のほうが先のことを考えて焦る場面も増えてきます。
模試の結果、評定、英検、志望校、受験科目……。
「このままで間に合うの?」
そう思えば、言いたくなるのも当然です。

でも、「正しいことを言われること」と「本人が納得して行動すること」は、必ずしも同じではありません。
そこで私たちが大切にしているのが、コーチング的な関わりです。
コーチングでは、すぐに答えを与えるのではなく、本人が自分の状態に気づき、
自分なりの答えを見つけ、行動につなげていくことを支援します。
例えば、
「次のテストでは、どうなっていたい?」
これは、目標を考える質問です。
「今、そのために一番困っていることは何?」
これは、現状を整理する質問です。
「前回、うまく勉強できたときは何が違った?」
これは、自分の中にある成功のヒントを探す質問です。
そして、
「じゃあ、今週は何をやってみる?」
これは、自分で行動を決める質問です。
目標を考える
↓
今の状態を知る
↓
できていることや方法を探す
↓
次の行動を自分で決める
こうして自分で考える経験を少しずつ増やしていきます。
そしてもう一つ、大切にしたいのが「できていないこと」だけを見ないことです。
「前回より自分から始めるのが早くなったね」
「今回は計画を立てていたね」
「苦手な数学から逃げずに取り組んでいたね」
点数だけではなく、その途中にある行動や変化にも目を向けて言葉にする。
高校生であっても、自分の努力を誰かが見てくれていることは力になります。

ただし、ここで気をつけたいのは、親がコーチになろうとしすぎないことです。
質問をすれば、必ず子どもが話してくれるわけではありません。
特に中高生なら、
「別に」
「分からない」
「今それ聞かないで」
という日だってあります。
そんなときは、無理に答えを引き出さなくてもよいのだと思います。
コーチング的な関わりとは、たくさん質問することではありません。
「あなたなら考えられる」と信じて、必要なときには待つこと。
そして、本人が助けを必要としているときには、一緒に考えること。
中学生なら、まだ一緒に計画を立てることが必要かもしれません。
高校生なら、親が一歩引いて見守る場面を少しずつ増やす必要があるかもしれません。
成長段階も性格も一人ひとり違うので、どこまで任せるかに一つの正解はありません。
大切なのは、
「この子をどうやって勉強させよう」
から、
「この子が自分で考えられるようになるために、私はどう関わろう」
へ、親の視点を少し変えてみることではないでしょうか。

受験勉強はいつか終わります。
けれど、自分の状態を知り、目標を決め、行動し、うまくいかなければ方法を変えて、また挑戦する力は、その先もずっと必要になります。
PLATZでは、点数を上げること、志望校に合格することをもちろん大切にしています。
でも、それだけではありません。
「何をすればいいですか?」と聞く子から、
「まず、これをやってみます」と言える子へ。
そしていつか、
「自分で考え、自分で選び、自分で一歩を踏み出せる人」へ。
勉強や受験は、そんな力を育てる大切な機会でもある。
私たちはそう考えています。
